中国の「恐婚族」、祝日の悩み 印刷
2011年 2月 14日(月曜日) 19:12

中国では、春節の7連休は都市部で働いている多くの若者たちにとって、恐怖のひと時となりました。親に結婚やお見合いを迫られたからです。

今年26歳の徐さんは山西省大原市のあるOLで、去年6月大学院を卒業しました。社会人になって初めての春節帰省、徐さんはもともと帰省を楽しみにしていましたが、親に強制的に合コンに連れられて、辛い想いをしました。「せっかく就職したのに、故郷に帰っても親や親戚たちは私の仕事のことを聞かず、ひたすら婚活の話題ばかり投げかけられた。しかも、私の意見も聞かずに何回も合コンやお見合いの手配をして、本当に大きなお世話と思って、辛かった」と徐さんのコメントです。

中国のある大手婚活サイトはこのほど、北京、上海、広州で、5万1628人の20歳以上の独身男女にアンケート調査を行いました。その結果によれば、9割以上の未婚男女は春節の帰省期間中に親や親友に恋愛状況を聞かれ、7割以上は結婚するよう迫られたということです。

30歳の誕生日を迎えたばかりの王芸さんは南京市のある銀行に勤めています。収入も高く、友達も多い王さんは自由自在な独身生活を楽しんでいます。しかし、親から結婚を迫られるのを恐れるあまり、今年の春節に王さんは帰省をあきらめて、独り海南島へ旅をしました。

恐婚の悩みは女性ばかりではなく、男性も抱えています。30歳ちょっとの呉昊さんは北京のサラリーマンです。初恋が失敗してから、好きな人に出会えず、ずっと待っています。しかし、呉さんの両親は息子の結婚が心配でなりません。今年の春節、呉さんの両親は息子の写真を持って白馬公園で行われた婚活に出かけました。そして、7日間の春節連休中、息子に9回のお見合いを用意し、多い時には1日に3人とお見合いをさせました。

これに対し、呉さんは「結婚したくないと親には何回も説明したが、彼らは理解できないようだ。親の世代は、人柄がよくて、お互いの職業や年齢、経済条件が合えば結婚できると思っている。しかし、私たち若者は精神面の交流をもっと重視している」と語りました。

恐婚族の悩みに対し、中国人民大学社会学科の周孝正教授は、「いまの若者はほとんど一人っ子で、個人主義を訴えている。だから、結婚への態度は積極的ではなく、家庭への責任感も薄い」と述べました。

一方、女性の教育レベルの向上も「剰女(結婚できない女性)」の増加につながると見られています。南京の王芸さんは「結婚しなくても、私の収入は自分の生活や親の世話を十分保障できる。逆に、もし結婚すれば、旦那の世話をするとか、子育てとか、仕事に励む精力が少なくなる。もちろん、結婚したくないというわけではない。好きな人に出会えなければ、むしろ結婚したくない。それは自分に対する責任だと思う」と語りました。

さらに、都市部でますます高騰している住宅価格も恐婚族の増加を促しました。一部の若者、特に独身の男性は住宅を買えないため、何回お見合いしても失敗しました。「大都市で暮らすには、住宅、マイカー、質の高い生活……コストがあまりにも高いので、プレッシャーが大きい、結婚につながる勇気がない」と一部の都市部若者のコメントです。

恐婚族へのアドバイスとして、恋愛心理士の龔海燕さんは、「独りで悩むより、心の憂いを捨てて、落ち着いた気持ちで家族や親友と交流し、自分の願いを素直に人に伝えれば、理解してもらえるだろう。一方、ひたすら待つより、積極的に探したほうがよい。普段の活動範囲を拡大して、友達作りに励めば、いつかきっと運命の人と出会えるだろう」と述べました。