米中貿易摩擦は世界経済にダメージ=英経済界 印刷
2018年 4月 10日(火曜日) 19:21

米政府がこのほど中国製品に対して追加関税を課すことを数回にわたって通告、世界の金融市場が動揺を見せていることを受け、イギリス経済界の大部分の識者は、「米国が対中貿易摩擦をエスカレートさせていくことは、世界経済の発展にマイナスな影響を及ぼすだろう」との考えを示しています。

投資銀行業務と金融商品仲介業を行う中国銀行の子会社「中銀国際(BOCI)」グローバルプロダクトマーケティングストラテジー部門の傅暁マネージャーは、「米国は独りよがりな考えで国際貿易のルールに違反し、中国製品に対して大規模な関税を課すことを決定した。これは世界経済に対して大きなスピルオーバー効果を及ぼすだろう」とした上で、「貿易紛争が全面的な貿易戦争まで進展すれば、商品の全面的な値上げや、ひいては悪性のインフレを招き、関連産業の雇用にまで大きなダメージを与えるだろう」との考えを示しています。

中銀国際の試算によりますと、中国からの貨物輸入を10%削減すると、米国の経済成長率は0.01ポイントから0.02ポイント減少することになるとしています。

イギリスオックスフォード経済研究院の研究結果によりますと、貿易衝突を回避できなければ、世界経済の成長率は0.5%減と、明らかな減速を見せることになるとのことです。さらに、米国と中国にとっても、両国の経済成長率がそれぞれ1%ほど減速する結果を招くということです。

イギリスのガーディアン紙はこのほど、オックスフォード大学の経済研究員リンダ・ユエ氏の記事を掲載し、「米政府が起こした対中貿易摩擦は巨大かつ破壊的な影響を持っている。米中貿易摩擦が引き続きエスカレートすれば、それによる不利な影響はいっそう拡大、投資などの分野に波及し、最終的にはグローバルなサプライチェーンを混乱させることになるだろう」としています。