地域情報特集
在日新華僑
東方通信社発行 学苑報
| 栃木県東部を横断するJR烏山線で穀倉地帯が生み出した産業を体感!! |
|
| 2010年 10月 15日(金曜日) 14:06 | |||||||||||
|
旅のはじまりは始発の高根沢町の宝積寺駅から。まずは高根沢町で400年以上の歴史を持つ子ども専門医薬品メーカー・宇津救命丸㈱の工場を訪ねた。 「宇津救命丸」は8種類の生薬を使用し、乳児の夜泣きやかんの虫によく効くとされている小児薬。この薬は宇都宮城で御殿医をしていた宇津家の初代宇津権右衛門が「宇津の秘薬」として1597年に製造したのが始まりといわれる。その後、村人に薬を処方するうちに、その効能が評判となり関東一円から全国に広がっていったそうだ。
現在、本社は東京神田に移転しているが、高根沢町の3万坪を超える敷地には、工場のほか、宇津家の古文書や製薬器具が保存された史料館もある。また一説によれば、日光東照宮に携わった職人たちの手によるとされる宇津薬師堂なども残されており、これまでの宇津家の発展の様子がうかがえる。 「救命丸の原材料はジャコウなど貴重なものが多いため、近年は材料が入手しにくくなっています。また、最近は子どもの数が減っているため、救命丸のほかに風邪薬などの新薬も開発しています。とはいえ、当社の看板はやはり救命丸、これからもこの家庭薬を代々伝えていきたいと思います」と高根沢工場主任の田村啓子さんは話す。先人の知恵が生み出し、高根沢町の発展の礎ともなった秘伝の家庭薬。少子化のなかでもぜひ親から子、孫へと受け継いでほしいものだ。
つづいて向かったのが、下野花岡駅から車で10分の場所にあるグリーンハウス田代。烏山線沿線は米づくりが盛んな穀倉地帯だが、同社では花の栽培・販売に意欲を燃やしている。代表の田代正行さんは農業高校を卒業後、自宅の田んぼ3町歩を利用してハウスを建設。以後、30年以上に渡ってカーネーションをメインに生産してきた。「最初は家族に猛反対されたけれど、めげずにオランダやスペインに足を運んでは研究を重ねました」と田代さん。その結果、田代さんのカーネーションは農林水産大臣賞をはじめとして、品評会で数々の賞を受賞してきたという。しかし、近年はコロンビア産などの輸入モノに押されて、国産のカーネーションの競争力にカゲリが。そこで現在は輸入が難しいキンギョソウをメインに、さまざまな花を栽培しているそうだ。また、平成6年からは直売もスタート。現在はインターネットを活用して、全国に1000社以上の取引先を有しているという。そんなグリーンハウス田代のシンボルといえば、敷地内にある巨大な風車。これは田代さんがかつて「世界一の花の国・オランダのような地域にしたい」という願いを込めて建てたもの。その願いに向けて、田代さんは今も着実に歩みつづけている。
さて、ふたたび烏山線に乗って、2駅先の鴻野山駅へ。もともと栃木県は酪農業が盛んで、現在は生乳の生産量が全国2位を誇る酪農地帯。というわけで、車で10分ほどのところにある南那須自然休養村内の㈲南那須こぶしが丘牧場に向かった。この南那須こぶしが丘牧場は、20年前に那須烏山市内の酪農家たちが共同出資して立ち上げた、乳製品の製造販売会社だ。「通常、酪農家は生乳を農協や大手食品会社に出荷するだけ。そこで、自分たちの手でこだわりの商品を作り、消費者に届けてみようということになり、11軒の酪農家とともに当社を立ち上げた」と話すのは社長の高瀬賢治さん。現在、6軒の酪農家で毎朝絞り立ての生乳を工場に運び込んで、牛乳やヨーグルトに加工している。なお、加工は通常の高温殺菌ではなく、65℃の低温殺菌で行っているそうだ。「搾乳してから2時間以内に低温殺菌することで、乳酸菌やビフィズス菌が残り、ヘルシーで風味のいい牛乳に仕上がる」と高瀬さん。実際、試飲させてもらった牛乳とヨーグルトは、大地の恵みがギュッと詰まった濃厚な味。最近はネット販売も充実、北海道や九州からのリピーターも急増中だ。 最後に向かったのは終点の烏山駅。木造の昔懐かしい駅舎に降り立ち、駅前の商店街を抜けて㈱島崎酒造に向かった。島崎酒造は1849年に創業し、那須岳より湧き出る那珂川の伏流水と地元の米を使った酒造りに取り組んできた老舗の蔵元だ。
ユニークなのは70年頃から、戦時中に戦車の組み立て工場として使用されていた洞窟を、低温貯蔵庫として利用していることだ。微妙に気温が変化する洞窟内での低温熟成は「まろやかな落ち着きのある酒を生み出す」と広報の堀江恭一さんは話す。 また、洞窟を利用した酒のオーナー制度もはじめているという。こちらも「自分の酒を洞窟のなかで寝かせておくこともできる」と人気だそうだ。ところで、この蔵では「以前は東北から杜氏を呼び寄せて仕込みをしていた」そうだが、「今はすべて自分たちで行っている」という。また、このところ日本酒の消費量が落ちているため、「10年前からは日本酒と地元の素材を合わせたリキュールなども造っている」そうだ。自信作は栃木の特産品のいちご「とちおとめ」とコラボした「いちごワイン」。いちご100精という変わり種だが、濃厚なイチゴの香りが若い女性に人気だとか。まさに地域密着型の酒造りをすすめる同社、これからも地域との連携を強めて、全国に栃木ブランドを発信してほしいものだ。 このように、穀倉地帯ならではの産業が数多く存在する烏山線。駅ごとに収穫の秋の風情を楽しみながら、沿線産業の旅に出かけてみるのもオツかもしれない。
|
|||||||||||
| 最終更新 2010年 10月 15日(金曜日) 14:35 |
















