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千葉市が抱える行財政問題に挑戦!! 最年少の政令指定都市首長が〝穏便〟に大胆な行財政改革を断行!! 打印
2012-05-10 16:01

ゲスト〉

熊谷俊人(くまがい・としひと)

千葉市長

〈プロフィール〉

1978年生まれ。96年3月私立白陵高等学校卒業。01年3月早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年4月NTT コミュニケーションズ株式会社入社。06年民主党の市議会議員候補公募に応募、合格。NPO政策塾「一新塾」第18 期生。07年4月千葉市議会議員選挙(稲毛区)に立候補、初当選。09年6月千葉市長選挙に立候補、31歳で市長に就任(当時、全国最年少)、政令指定都市としては歴代最年少。

 

〈リード〉

政令指定都市の最年少市長として知られる熊谷俊人千葉市長。就任当初から徹底した歳出カット、歳入アップの施策を展開し、市の財政を着実に再生に導いている。この調子でいけば、千葉市は全国の自治体改革の成功モデルになりそうだ。そこで、今号では千葉市の行財政改革の現状と今後の展望について聞いてみた。

 

〈本文〉

政令市の首長を目指して

政治家の道を選択

 

並河信乃・本誌編集主幹 熊谷市長はもともと政令市の市長になりたいと考えていたそうですね。まずはそのあたりの想いからお聞かせください。

熊谷俊人・千葉市長 政治家を目指すほとんどの人は、最終的にかならず国政を目指したがります。そのため、私もいつ国政に出るのか、あるいは出る意志があるのかと聞かれることがあります。しかし、これからは地域主権、基礎自治体の時代ですから、けっして国政にこだわる必要はないと思うのです。地域がひとつの成功モデルを示し、それが国にインパクトを与えていくことだってできるはずです。そこで、私は政治家になるのであれば、基礎自治体の首長、とくにそのなかでも模範となるべき政令市の首長になりたいと思うようになったのです。それで、市議会議員を務めた後に市長選に出馬したところ、多くの方々の支持を得て市長になることができたのです。まさかこんなに早く市長になれるとは思っていませんでしたが、今は本当にやりたいことがやれるので充実した日々を送っています。

並河 市長就任時、千葉市は財政面で厳しい状況にありましたが、就任後に掲げた財政再建の手応えはいかがでしょうか。

熊谷 ここまで順調にすすむとは思っていませんでした。勝負の年は初年度の平成22年度でした。この年度にはさまざまな予算を大幅にカットしたので、抵抗も大きいだろうと思っていたのですが、案外と住民の皆さんや、議会でも認められ、今も支持されつづけています。この調子でいけば、平成27、28年には財政難から脱却することができ、自治体の財政再建のひとつの成功モデルになると思います。

並河 市職員や議員の報酬カットなど、多数の反対意見が出てもおかしくないような改革をすすめてこられましたが、どうしてこううまくすすめることができたのでしょうか。

熊谷 やはり広く地域住民から票をいただいたからだと思います。それにヨソ者にも寛容でやさしいという千葉の風土が影響しているかもしれません。地域の方々の後ろ支えがあるからこそ、思い切った改革をすすめることができているのです。ですから、私は市長に就任してからも、地域住民の皆さんの声をシッカリと聞くために、できるかぎりさまざまな会合などに顔を出すようにしています。

並河 歳出カットは順調にすすんでいるようですが、歳入の確保についてはどうでしょうか。

熊谷 現状では歳入確保も順調です。たとえば、私が就任してからは国民健康保険料を値上げすることもできましたし、市税の徴収率も上がりました。とくに市税の徴収率に関してはチョット無茶かなという目標を設定していたのですが、着実にクリアすることができています。国保に関しては全体的に低所得者が増えているので大変ですが、何とか議員の皆さんに理解していただき、順次値上げに協力していただいています。今年はとくに背水の陣で臨んでいるので、さらに歳入は増えてくると思います。

 

ほかの政令市に負けない

個性的な地域づくりを推進

 

並河 ところで、千葉市というと、横浜や神戸といった政令市に比べ、今ひとつイメージが掴みにくい感じがします。そういったほかの政令市とどのように差別化をはかっていきますか。

熊谷 雇用問題で差別化をはかっていきたいと思います。たとえば、関東の政令市では横浜市が長年にわたって企業誘致に力を入れていますが、それを越えるような企業誘致策を今年度からスタートし、実績を上げていきたいと考えています。これに関しては、今まで力を入れてこなかったので、伸びる余地は十分にあると思います。企業誘致がうまくいけば、法人税による歳入アップはもちろんのこと、雇用促進もすすむし、結果として定住人口を増やすことができますから。もちろん、人口増に関しては指名買いされる地域にならなければならないと思っています。たとえば、同じ千葉県でも船橋や市川ではなく、千葉市に住まいを置きたいといってもらえるようにしなければならないのです。

並河 そのためにどのような手を打っていますか。

熊谷 東京近郊の主要な政令市であるさいたま、川崎、横浜、東京西部などと千葉市を比較したデータを出し、千葉市の特色を明確にする取り組みを行っています。たとえば、千葉は真冬の平均気温がほかの政令市よりも高く、真夏は低いというデータがあるのですが、この点でも千葉が実にすごしやすい気候であるかということがわかってもらえるはずです。

そのほか、中学校の学校給食が100㌫になっているとか、小学校の子どもの一人当たりの校庭面積が広い、体力診断の成績が高いといった特色なども伝えて、子育て世代に対して積極的にアピールしていきます。また、最近では保育環境の整備もすすみ、待機児童の数も格段に減らすことができました。この千葉市を〝終の住まい〟として選択してもらえるように努めていこうと思います。

並河 市の概要ということでは市勢要覧がありますが、それとは異なるイメージのデータが集まりそうですね。

熊谷 市勢要覧では堅苦しすぎて、その地域のイメージがつかめません。ですから、データをもとに千葉市の魅力をひとまとめにしたパンフレットを作成したいと思っています。

並河 そういった子育て世代は千葉市のどのあたりに住むことになるのでしょうか。

熊谷 千葉市の人口増加はこのところ頭打ちになっており、今では空き家も出てきています。いまさら郊外にニュータウンをつくる必要はありません。今の市街地区域を活用しながら、ひとりでも多くの人たちに住んでもらいたいと思っています。

並河 まちづくりという点では商店街の活性化もテーマになると思いますが、そのあたりについてはいかがですか。

熊谷 商店街に限定した施策を行うつもりはありません。商店街施策の多くは「商店街は守らないといけない」という錯覚から生まれているように感じるからです。その感覚がダメなのです。そう思っているかぎり、商店街にお客は来ないと思います。お年寄りのためにも商店街は必要だという意見もありますが、実際には多くのお年寄りはスーパーに買い物に行ったり、宅配サービスを活用したりしています。キッチリとお年寄りの買い物実態を調査すれば、そうした結果は明らかになってくるでしょう。そうなると、商店街を守るための施策は結局のところ、ムダになってしまいかねません。それならば、むしろ宅配や御用聞きといった配達業者を支援したり、そういった業者の一覧表をお年寄りに配布するといったサービスを行うべきだと考えています。

並河 商店街にこだわらず、高齢化対策に万全を期すという方向性なのですね。

熊谷 そうです。買い物などの環境整備も大事ですが、それ以上にわれわれが大事にしなければならないのは健康を維持するための施設やサービスが身近にあることです。とくにお年寄りにとってはそういったインフラ整備が大事ですね。

並河 基本計画を拝見していると、科学都市戦略というものがありました。うまくいけば起業意欲を引き出すこともできるし、産業のインキュベーションにもつながると思うのですが、その展望についてお話しください。

熊谷 日本が科学立国であることは論を待たないところですが、実際に科学をベースにしたまちづくりが行われているかといえば大いに疑問が残ります。そもそも日本では科学が理系科目であるという思い込みがあり、文系の人間は科学を知らなくても当然といった風潮があります。しかし本来、科学は教養であり、全国民が有していないといけない知識のはずです。もちろん、そのための意識転換には時間がかかると思いますが、コツコツとやり遂げたいと思います。

並河 具体的にはどのような施策を展開していきますか。

熊谷 昨年度から「千葉市科学フェスタ」を行い、科学の魅力を住民の皆さんに知ってもらう活動をしています。このイベントではメイン会場での科学イベントはもちろんのこと、さまざまな科学関係団体にも参加してもらい、多くの市民に紹介しました。今後は国やJST(独立行政法人 科学技術振興機構)の支援を生かしながら、住民と科学系の団体をつなぐようなネットワーク事業も立ち上げていきたいと思っています。

まだまだ時間はかかると思いますが、そうやって徐々に科学を日常的なものにしていきたいのです。たとえば、敬老会で科学的なイベントや実験などが行われたり、市内の書店で科学系の雑誌がやたらと売れるようになったりしたら完璧ですね。最終的には千葉市で優秀な科学的な人材が輩出されるようになり、科学系の企業がたくさん集まってくるようになれば最高です。そうなれば、千葉市がシリコンバレーになるのも夢ではないはずです。

並河 科学といえばICTなどの話題もありますが、そのあたりについてはどのようにお考えですか。

熊谷 5年後には日本でもトップクラスのICT都市にしたいと思います。千葉市は政令市でもっとも情報システムの導入が遅れていましたが、国民に番号を割り振り、納税記録や年金、医療などの社会保障情報を管理する共通番号「マイナンバー」に関しては、積極的に導入をはかっていくつもりです。

並河 情報統制などの側面で反対する意見も出てきそうですね。

熊谷 便利だと思う人は使えばいいし、イヤだと思う人は使わなければいいと思っています。どうしても行政はゼロか100かで物事を捉えたがりますが、最初から100㌫である必要はないと思っています。

 

特区制度を活用して

施策のあり方を住民に問う

 

並河 今のようなことが結びついてくると、千葉市のイメージもハッキリとしてきそうですね。さて、これからはどのようなスタンスで市政を展開していきますか。

熊谷 特区制度なども活用しながら、現場にもっとも合ったまちづくりを実現していきたいと思っています。地域から国を変えていくようなスタンスで臨みたいのです。たとえば、私は文科省の教員免許更新制は必要性に乏しい制度だと考えているので、千葉市では更新を必要としない特区を申請することもアイデアとして持っています。本当に更新制が必要か否かを世に問うてみたいと思っています。

並河 大阪市の橋下市長とはまた違った手法で改革をすすめているように感じますが、その点はどうでしょうか。

熊谷 私の場合、外部の方々と連携するよりも、まずは自分がやれることをシッカリと行っていきたいと思っています。いくら周囲に仲間や同志を集めても、それぞれの立場は違いますし、自治体のあり方といった議論になってくるとコアな部分で異なる点が無数に出てきます。それなら、自分自身の市政改革に全力をあげ、後は連携できる人と組むというスタイルでありたいと思っています。

また、私は大胆な改革を穏健にすすめていきたいと考えています。現に千葉市は職員の収入に関して、政令市のなかで退職金をカットした唯一の市なのですが、それが大げさに報道されたりするようなことはありませんでした。というのは、事前に職員組合側とキッチリと話し合った末の結果なので、とくに揉め事が起こるようなことがなかったのです。議論は必要ですが、喧嘩は最終的に収集収拾するのが大変ですし、後々、周りの方々に苦労をさせてしまう恐れがあるので、避けられるものは避けたいと思っています。

並河 中国の天津市などと友好都市協定を結んでいますが、今後の中国にどのような期待を持っていますか。

熊谷 これまでは日本企業が中国に進出する時代でしたが、これからは中国企業が日本に進出する時代だと思っています。たとえば、幕張には国際展示会などを開催する幕張メッセがありますし、外資系企業にとっても馴染みがある土地です。それに東京までも近いし、外資系企業の優遇措置や法人市民税の実質100㌫減免制度もあります。こういった利点をもっとPRして、外資系企業の誘致に力を入れていきたいと思います。

並河 これからも独自路線で改革を着実に成功させていってください。本日はありがとうございました。

 
「内需の外需化」を目指して カンボジアのビジネスチャンスを掴め!! 打印
2011-10-13 16:53

〈ゲスト〉

大久保秀夫(おおくぼ・ひでお)

フォーバル代表取締役会長

〈プロフィール〉

1954年生まれ。國學院大学法学部卒業。80年に新日本工販?(現・?フォーバル)を設立し、電電公社(現NTT)の独占であった電話機の市場に進出する。88年には「NCC・BOX」の成功をキッカケに、当時の最短記録で株式を公開、さまざまな「新しいあたりまえ」を創造。2010年に社長職を退く。現在は代表取締役会長の職に就きながら、国内国外を問わず、さまざまな社会活動に力を注いでいる

東日本大震災、デフレ、円高と多くの中小企業にとって、厳しい時期がつづいている。また、従来から問題視されてきた少子化や後継者問題が、いよいよもって経営者の背中に重くのしかかってきている。はたして、この混迷をきわめる時代を生き抜くにはどうすればいいのか。その問いに対してフォーバルの代表取締役会長である大久保秀夫氏は「外需の内需化がキーワードだ」と説く。その意味するところは何なのか、さっそく聞いてみた。

 

従来の通信事業だけでなく

中小企業のコンサルにも注力

 

並河信乃・本誌編集主幹 フォーバルはもともとは通信事業を主としてきたわけですが、現在は中小企業向けのコンサルティングなども行っていますね。どのような経緯でそういった事業に取り組むようになったのですか。

大久保秀夫・フォーバル代表取締役会長 当社はもともと情報通信をベースとした事業を行ってきたわけですが、3年ほど前からあらためて顧客がどんなことに困っているかを聞く、よろず相談をはじめたのです。すると、顧客側から情報通信だけでなく、さまざまな困りごとが出てきました。そこで、私たちはそれらを顧客のニーズと捉え、経営に関してもソリューションを提供できるのではないかと考えるようになったのです。

並河 どういった困りごとが多かったのですか。

大久保 やはり後継者問題です。後継者がいないために会社をたたんだり、売ったりしてしまう傾向があります。この傾向はとくに製造業では顕著で、東京都からはピーク時の60?もの製造業がなくなっています。

並河 どういった対策を講じればいいのでしょうか。

大久保 私はつねづね「外需の内需化」を目指すようにいっています。製造業務を海外で行い、国内で稼ぐというスタイルのことです。R&Dなどは日本で行い、製造は労働力が安価な海外で行うという役割分担をすすめるのです。これを推し進めることができれば、今後の事業展開が広がるので、会社を維持することができるようになるので、後継者が見つかる可能性も高くなるはずです。

 

海外進出をする際の

カンボジアの魅力とは

 

並河 海外ということですが、どういった国を想定すればいいのでしょうか。大久保さんはとくにカンボジアに力を入れているようですが。

大久保 私は08年にカンボジア国際教育支援基金(CIESF)を立ち上げ、カンボジアに対する教育支援を行っています。というのは、カンボジアはポルポト政権時代に知識層が弾圧されてしまい、教師が激減してしまった国だからです。そこで、日本の先生たちをカンボジアに連れて行き、教員養成校の先生たちに教育を行ってもらっています。いうなれば「国境なき教師団」を結成し、カンボジアの教師のための教育を行っているのです。

そういった活動を行う過程のなかで、私はカンボジアの潜在失業率が40?もあり、雇用の場がほとんどないことを知りました。これではせっかく教育インフラを整えても、働くことができない若者で溢れかえってしまいます。ならば、日本の企業がカンボジアに進出し、雇用の受け皿になればいいのではないかと思うようになりました。

それに、カンボジアは外資系企業であっても、外資規制などの足かせなしに設立できるというメリットがあります。製造業はもちろんのこと、金融機関であっても100?独資で設立することができます。しかも、製造業ならば投資優遇制度(QIP)を申請すれば、一定期間、法人税がかからないようにすることもできますし、関税などの問題も解決することができます。

並河 しかし、教育水準がしばらく低いとなると、進出企業は当面、自分たちで従業員教育を行わなければなりませんね。

大久保 そういった問題が生じるかと思い、日系企業に就職する若者向けの教育機関も設置しました。10月1日が開校式で、350人が入学することになっています。入学金などは無料ですが、徹底的に厳しく教育していきます。日本語や日本の文化、社会に関する教育はもちろんのこと、夜間にはITと会計に関する講座も行います。会計に関しては辻本郷会系事務所と提携して、日商簿記2級、3級レベルにまで引き上げていく予定です。

並河 今は外資規制がないかもしれませんが、経済発展とともにナショナリズムの台頭や外資規制が問題になってくる恐れはありませんか。

大久保 それは歴史上、どうしても繰り返す問題だと思います。しかし、そうなったら今度はミャンマーやラオスに目を向けていけばいいだけの話です。ドンドンそういった途上国を支援していきながら、自分たちもメリットを得るという流れをつくり出していかなければなりません。

並河 途上国であれば、どこでもビジネスチャンスはあるのでしょうか。

大久保 メコンエリアで市場性を優先するなら、インドネシアやベトナムでサービス業を展開するといいでしょう。製造拠点として捉えるなら、カンボジアとミャンマーがいいと思います。現にすでにカンボジアではスズキやヤマハ、味の素といった大手メーカーが工場を稼働しています。無論、まだ電力などの問題はありますが、最近では停電の数も減ってきました。ミャンマーの場合はまだ自家発電しなければリスクがともないますが。

また、その国が親日か否かというのも重要なポイントです。カンボジアは第二次世界大戦の賠償責任を最初に放棄した国でもあり、実に親日な風土を持っています。ベトナムなども同様です。そういう国に日本の中小企業を導いていかなければなりません。

並河 タイなんかはどうですか。

大久保 サービス業であればチャンスがあると思いますが、製造業だと人件費が上がってきているのでもう遅いと思います。そういう意味では、インドネシアは人口の60?が30歳以下で、今後の内需に期待が持てます。毎年300万人が学校を卒業しているのですから。ただし、イスラム圏であるということと、労働法がきわめて労働者よりだという点には注意しなければなりません。実際、法律上、新社員を採用する際の権限を日本人が持てないようになっていますし、一度採用すると解雇できないといったデメリットもあります。

 

自治体や企業には

広い視野を持ってほしい

 

並河 企業の海外進出がすすむと、日本の雇用が減退してしまうのではないでしょうか。

大久保 たしかに従来の製造業などは海外に移転してしまいます。だからこそ、これからは職業転換が必要なのです。国が一定期間の訓練期間を助成し、これから国内ニーズが高まる福祉・介護産業の担い手を増やしていけばいいと考えています。あるいは農業の産業化を推進していくというのも手でしょう。

並河 といっても、地域経済を考えると、企業の流出は大きな打撃のようにも思えますが。

大久保 その答えが地域主権ではないでしょうか。中央は財務や防衛、外交といった分野だけを行い、そのほかは地方に任せるという仕組みを実現すべきだと思います。そして、地方行政単位で特区権を持ち、それぞれが生き残るための知恵を振り絞っていくべきです。そうすることで活力はまだまだ出てくるし、地域ごとに新しい産業が誕生すると確信しています。

並河 たしかに雇用政策などは各自治体で行うようになってきました。これをもう一歩押しすすめていくということですね。

大久保 そのために、私はNPO法人「元気な日本をつくる会」を立ち上げました。地域活性化とグローバル化をテーマにして、宮城県亘理町や北海道沼田町をはじめとした自治体の首長さんたちを招いて、ディスカッションをしたり、いろいろな提案を投げかけたりしています。

並河 具体的にはどういったことを指摘していますか。

大久保 何よりも「狭い視野で物事を考えてはいけない」といっています。私はHISの代表である澤田秀雄氏と親しいのですが、彼はハウステンボス(長崎県佐世保市)を昨年4月に買収し、それからわずか4カ月で黒字にする自信があるといっていました。しかも、ひとりも人を切らずにです。彼はまず従来佐世保市内の業者に発注していた仕事(建物や植木のメンテナンスなど)を全国的に募ることにしました。すると、結局は佐世保の事業者が受注したわけですが、コストが従来の半分以下に減ったのだそうです。これは今まで競争がなかったために、コストが割高になっていたということのあらわれです。また、彼は市場を国内ではなく、中国に求めました。上海から佐世保に船を走らせ、大勢の中国人観光客を呼び込むことに成功したのです。結果、ハウステンボスはこれまでの赤字体質から脱却し、黒字をあげる企業へと変貌を遂げました。つまり、つねに広い視野で物事を考えていけば、ビジネスチャンスを掴むことができるのです。

これは持論ですが、これからの自治体は首長の二番手に、実業家をつければいいのではないかと考えています。そうすれば、二番手からつぎつぎとアイデアがあがってくるので、首長さんの頭もクルクルと回り出し、自治体全体が動き出すようになると思うのです。今後はそういった官民連携の形があってもいいのではないでしょうか。

並河 企業経営者というと、昔は国や地域のことを考えるのが当たり前でした。しかし、90年の不況以来、どうも近視眼的になっているような印象を受けます。企業経営者自身も変革が必要なのではないでしょうか。

大久保 おっしゃるとおりだと思います。そこで、今年から私は全国各地で「大久保秀夫塾」を開催しはじめました。これは経営のノウハウではなく、根本的な企業の在り方を伝えることを目的としたものです。たとえば、企業経営を行う上で経済性、独自性、社会性の順で物事を考えるのではなく、社会性、独自性、経済性の順で考えるべきだといったことを話しています。こうした活動を通じて、ひとりでも多くの経営者たちに地域とのかかわり方、企業のあり方、企業の社会貢献といったテーマに向き合ってほしいと思います。

並河 東日本大震災では多くの中小企業が被害を受けました。何か被災地にアドバイスはありますか。

大久保 元気な日本をつくる会のパートナーである宮城県亘理町も大きな被害を受けました。そこで私たちは今、全力をあげて亘理町の復興計画を立てています。税収や立地、人口構成など、すべての要素を考慮し、首長になったつもりで3年計画を立てているところです。あと1カ月半くらいで完成すると思いますが、できあがったらすぐに町長のもとに持って行きたいと思います。そのなかには、ほかの被災地が「なるほどな」と思うようなアイデアを詰め込む予定です。

並河 是非とも被災地が元気に立ち上がれるようなプランを立ててください。本日はありがとございました。

 
被災地復興を願う出資者たちの力が 被災地の老舗・中小企業を元気にする!! 打印
2011-09-15 17:24

00年に創業し、「音楽ファンド」をはじめとした独自のファンドを展開しているミュージックセキュリティーズ。この4月には「セキュリテ被災地応援ファンド」を立ち上げ、被災地の老舗企業、中小企業の支援に取り組んでいる。弊誌6月号に登場した味噌・醤油製造業の八木澤商店(岩手県陸前高田市)も、同社のファンドによって資金調達を実現することができたそうだ。さっそく、その取り組みについて小松真実代表取締役に聞いてみた。

音楽活動を経て 音楽ファンドの設立へ

並河信乃・編集主幹 ミュージックセキュリティーズという会社の設立経緯についてお聞かせください。 

小松真実・ミュージックセキュリティーズ代表取締役 私は学生時代にドラムを演奏していました。と同時に、投資信託の会社でアルバイトをしていたのですが、そのときにファンドを活用して、インディペンデントに活躍している音楽を世に出すことができるんじゃないかと考えたのです。そして、この「音楽ファンド」を設立するために00年にミュージックセキュリティーズを創業し、02年に株式会社にしました。

並河 音楽ファンドとはどういうものなのでしょうか。 

小松 ひと言でいえば、特定のミュージシャンの音楽性や想いに共感するファンから資金を集めてCDを出したり、プロモーションしたりする取り組みです。投資ですので元本保証はありませんが、もちろんCDがヒットすれば配当を得ることもできます。ただ、出資いただく際には、かならずしも儲けという点だけではなく、そのミュージシャンが好きだから、応援したいからという気持ちで出資をしていただけると嬉しいですね。はじめたばかりの頃はCDを出す100万円くらいのプロジェクトがやっとでしたが、今では7700万円ほどのプロジェクトをファンドにして、CDを出すようなケースも出てきました。応援しているミュージシャンはすべてインディペンデント系の方々ですが、最近ではオリコンチャートに食い込むようになり、3位になった例もあります。

並河 音楽だけでなく、蔵元などもファンドで応援していますね。 

小松 ある蔵元の方と出会い、日本酒造りにかける想いに共感したのがキッカケです。そして、日本の金融システムではかならずしも複数年にわたって熟成させながら酒造りに励む蔵元をフォローしきれないとうかがい、その蔵元のファンたちでファンドを形成できないかと考えたのです。実際にファンドを立ち上げてみると非常に好評で、毎年、募集を出すと早い時期に資金が集まるようになっています。ちなみに、投資家には特典として、出来たてのお酒などが贈呈されるようになっています。現在は蔵元だけにかぎらず、農業や林業なども同様の仕組みで応援しています。

匿名組合によるスキームとネット取引で規模を拡大 

並河 投資の仕組みについて教えてください。

小松 当社が扱うファンドは新しいようでもっとも古いスタイルだと思います。匿名組合による投資というスキームを採用しており、投資家が投資先の株式を取得するわけではありません。ひとつひとつの事業に関して投資するプロジェクト・ファイナンスのような形態になっており、投資家には配当金や特典としてプロジェクトの成果物が還元されるようになっています。ちなみに、投資するお金は出資金という形で企業に渡すことになり、私たちはあくまで仲介という立場にすぎません。 

並河 すべての取引をインターネット上で行うのも特徴的ですね。

小松 投資家は弊社のウェブサイト上で契約を結び、その後はログインすることで、どこに投資しているかをチェックできるような仕組みになっています。1口当たりの投資額は音楽ファンドで1万円、蔵元で5万円からといった感じなので、比較的気軽に投資することができると思います。この気軽さと簡潔な仕組みで、投資への敷居を下げることができたのであれば嬉しいです。現に私たちのファンドの投資家は30~40代という比較的若い世代が多く参加しています。 

並河 投資先はどのようにして集めているのですか。

小松 今は大半が持ち込み企画によるものです。それを弊社スタッフが5名の社内会計士とともにデューデリジェンスにかけて審査を行い、採用の是非を決定します。しかし、たんに利益をあげられるかどうかで決定するのではありません。あくまでもその企画が意義があるものかどうかがポイントになってきます。ですから、ときには意義がありそうだけどリスクが高いファンドがつくられることもあります。その際には投資家にキチンとリスクを開示した上で投資を募るようにしています。 

個人のパワーで被災地の復興をスピーディーに

並河 東日本大震災の被災地支援のために創設した「セキュリテ被災地応援ファンド」についてお聞かせください。 

小松 被災地で多大な被害を受けた中堅・中小企業を応援するためのファンドです。1社につき期限は7~10年、募集金額は1000万円から1億円までという感じで募集をかけています。4月25日に立ち上げたのですが、はやくも約8000人が投資してくれました。すでに3社は募集資金が満額となり、これから使ってもらうことになります。今後とも首都圏で説明会を開催するなどして、この取り組みをPRしていきたいと考えています。

並河 投資金額の半分は寄付に回すという仕組みになっているそうですね。 

小松 セキュリテ被災地応援ファンドに関しては投資金額の半額は寄付、残りの半額を投資とするシステムを採用しています。世界的に見ても、こういった仕組みでファンドを形成している例は少ないのではないでしょうか。もちろん、弊社でも初めての試みだったわけですが、被災地支援にはこうした手法が欠かせないと思ったのです。

並河 投資によって被災地を支援するということのメリットはどんなところにありますか。 

小松 寄付や義援金だと、どうしても一過性の支援になってしまいますし、かならずしもそれがどう使われたのかもわかりません。しかし、このたびの震災から復興するには中長期的な支援が必要ですし、そのためには長い間、ひとりでも多くの人が被災地のことに関心を持ちつづけなければならないと思うのです。その点、投資であれば直接的に被災地の企業にかかわることができるし、その会社の復興状況や商品を通して、被災地に関心を持ちつづけることができます。なかには、投資したことが縁でその会社の商品のリピーターになる人も出てくるでしょう。そうやって投資家と被災地とを結んでいきたいと考えています。

並河 投資というとハイリスク・ハイリターンが原則なわけですが、投資額の半分を寄付にするわけですから、およそハイリターンというわけにはいかなさそうですね。 

小松 おっしゃる通りです。しかし、そのあたりは投資家の方々もキッチリと理解した上で、投資してくれています。

並河 リターンの可能性が薄いとなると、個人投資家は集まっても、会社からの投資を集めるのは難しいのではないですか。 

小松 このたびの震災を経て、意外と多くの会社が関心を持ってくださっています。今までのCSRの予算はきわめてかぎられたものでしたが、これからもっと増えていくのではないかと思います。このところ、復興のために東北に工場などを立ち上げる企業も増えているようです。このように投資効率が悪くても、被災地支援のために投資していこうという流れは歓迎すべきトレンドだと思うのです。

並河 投資先に対して経営指導を行うようなこともあるのですか。 

小松 このファンドに参加してくれている企業は地域のリーダー的な存在のところがほとんどです。ですから、事業計画書を一緒に練ったりすることはあっても、具体的な経営に関して僕らがアドバイスをするようなことはありません。

並河 素晴らしい取り組みですね。しかし、被災地全体から見ると、どうしてもピンポイントな支援のようにも感じられるのですが。 

小松 たしかに全体の支援には程遠いかもしれません。しかし、被災地のリーダー的な会社を応援させていただくことで、被災地の復興にもつながっていけばと思っています。たとえば、先日資金が満額集まった味噌・醤油製造の(株)八木澤商店は陸前高田市のリーダー的な存在ですから、この会社が元気になることで陸前高田市は活気付き、復興も順調にすすむようになるはずです。もちろん、そういった会社は雇用能力も持っていらっしゃるので、直接的な地域活性化にも結びついていく可能性もあります。

今後はさらに、私たちとしてはこういった会社が立ち上がっていく過程をメディアなどで発信し、いろんな人たちに勇気や希望を持ってもらいたいと思っています。そして、いつかは被災地ツアーを組んで、投資家のみなさんに現地で復興の様子を見てもらいたいと思っています。 

並河 共感と連帯で社会システムを組んでいくという試みはすばらしいと思います。これからもこの取り組みをいろんな方面で展開していかれることを大いに期待しています。 

 

 
津波で「3基止まってます」―頭の中が真っ白に 今からでも冷却装置を取り付ければ安全だ!! 打印
2011-09-09 15:42

上原春男(うえはら・はるお) 

1940年長崎県対馬生まれ。1963年3月山口大学文理学部理学科卒業。1963年4月九州大学生産科学研究所助手。九州大学講師・佐賀大学理工学部教授を経て、2002年佐賀大学長就任。2005年NPO法人海洋温度差発電推進機構を設立(理事長)。2006年株式会社GECを設立。

はたして冷温停止だけで大丈夫か!? 
ただちに「外付け熱交換器」で冷却せよ!!

並河信乃・編集主幹 福島第一原子力発電所3号機の復水器設計にかかわったそうですね。率直にいって、このたびの原発事故の政府の対応についてはどう思いますか。 

上原春男・株式会社GEC代表取締役/工学博士 地震が発生時には、山田正彦・前農林大臣にお会いするために衆議院第2議員会館のエレベータの中にいました。直後に退避し、1階ロビーでどうなるかと見守っていたところに大臣の秘書がやってきたので、「どこの地震ですか」と訊くと「東北です」といわれ、咄嗟に「もしかしたら」と思いました。その足で山田先生の事務所に急行し、冷却装置がどうなっているのかを官邸に聞いてもらいました。すると「3基止まってます」といわれ、頭の中がマッ白になりました。2、3時間で爆発する恐れがあったので「水を入れないと大変なことになる」と何度も官邸に電話を入れました。東電の技術者からは「メルトダウン(炉心溶融)を避けるにはどうすればいいか」との問い合せもあり、「とにかく冷やせ、でなければ日本は全滅だ」とまでいいました。ところがご存知の通り、後日わかったことですが、14日までにはメルトダウンしていました。すでに手の打ちようがなかったわけです。

並河 政府の要請を受けて具体的な冷却対策を提案されてますよね。

上原 3月16日と4月3日の2回、政府と東京電力でつくる事故対策統合連絡本部(東電本店)に赴き、海水で冷却する「外付け熱交換器」システムの概略図を書いて提案しました。すでにそのシステムを海洋温度差発電メーカーの「ゼネシス」で製作してもらい、ヘリコプターで運べるように待機していました。 

担当者は私のいう通りです、と理解を示すのですが、菅総理側近の馬渕首相補佐官や枝野官房長官に訊くと「決定権を持つのは総理大臣です。総理には伝えていますが、まだ決定してくれません」とのことでした。

その後3月19日に菅総理から直接電話がありまして、「提案あったがよくわからない。どこにパイプをつないでいいのかよくわからない」との内容でした。なぜ総理大臣がパイプを繋ぐところまでわからなくてはいけないのか。「やれ」のひと言で良いではないか、「もう、これはダメだ…」と。周囲が納得しても、菅総理で止まってしまう。あらためてこの国はどうなってしまうのかと不安になりました。 

並河 今までお聞きしていると、人災とも取れる話ですね。

上原 私は20代から当時、東芝の社長であった土光敏夫さんにはお世話になり、エンジニアとして熱交換の図面を引きました。ですから頭の中には部品にいたるまで隅から隅まで入っています。そのひとつに最悪の事態を想定して、あるパイプを組み込んでおいたのです。しかし、通常時はそのパイプが邪魔になるのか、どの時点かで「必要ない」との判断でカットされていました。このパイプがあれば、ヒョッとしたらこの事態は避けることができたかもしれないのです。 

並河 なぜ、なくなったのか疑問も残りますが、それ以外にも原因となることはなかったのですか。

上原 私の推測ですが、事故がおきたら絶対に止めてはいけないバルブがあります。大学の実験室でもそうですが「バルブ空けろ」「はい、空けました」といって、スイッチ入れたら爆発するわけですよ。見ると、空けてあるはずのバルブが閉まっている。何度も経験しています。緊急時に、人間はよくそのような過ちを侵すのです。 

それと同じようなことが、この原発事故であったのではないか、と。でなければ、1,2,3号機が同時に止まるということは、確率からいってもありえませんね。メーカーの専門家に「空けるべきバルブを誤って閉めたのではないか」と訊いてみたいです。そんなことは想像したくないですが、もし土光さんが生きていたら、怒るだけでは済まなかったでしょうね。

並河 「循環注水冷却」が実現できたとして事故収束の工程表はステップ2に入るわけですが今後、安定的に推移するでしょうか。 

上原 現段階では30年はムリだと思います。本当のところ、どうなっているのか見る方法がないのでわからない。今の米仏製のシステムでは本体の原子炉に水は循環していますが、結局、冷却はできていません。今からでも、原子炉本体に私のいう「外付け熱交換器」システム取り付けてくれないかな、と思っています。冷却装置を取り付けてくれれば安全になります。何百億円もかかる話でなく、数億円のコストで済む話。このままでは日本沈没、座して死を待つわけにはいきません。

並河 他の原発でも事故が起きる可能性はありますか。 

上原 稼働から40年経っている原発は脆性破壊を起こす可能性があります。その数は8基ほどあります。すぐにも廃炉にしてもらい、同時に新エネルギーを早期に開発するなどのシナリオを菅総理に送っていますが、思惑もあってか、なかなかスッキリとした答えを出してくれません。正直いってジレッたい感じがします。

故郷・対馬に「海洋温度差発電」1000キロワットの実証機 

総投資額500億円、エコ発電にソフトバンクも参加

並河 ただいまお話に出ました新エネルギーについてですが、先生が進めています「海洋温度差発電」はどのようなものですか。

上原 設備投資の資金があればいつでもOKの段階です。実は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から話があり、2年後に対馬市の沖合いに実証機をつくる計画が進んでいます。設計は終了しもし、応募して採用されたら1000キロワットの実証機をつくります。

そのプロジェクトと並行して10万?? の発電所の建設を自己資金でつくる計画を進めています。うまくいけば1億??の発電ができるようになります。150億円の資金が必要で、100億円をNEDOが、50億円を私が代表を務める株式会社GECが資金調達をしていきます。震災後に1億7500万円の出資がありましたが、さらに出資者を募り来年の今頃までに50億円を調達したい。1基300億円程度の発電所を年間2~3基を世界につくっていきたいですね。

並河 海洋温度差発電は北回帰線と南回帰線の間ぐらいがちょうどいいといわれますが…。

上原 対馬沖には水深200?くらいの対馬海溝があって、北アルプスからの冷たい雪解け水が下に溜まっています。一方、海面には黒潮の対馬暖流が流れており、これほどハッキリと温度差のある海域は稀です。この表層の温海水と深層の冷海水の温度差エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムが、海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion、通称OTEC)です。対馬には地震も津波もきませんし、何より私の生まれ故郷でもありますから、ふるさとのためにもガンバッています。

また、対馬市には太陽光、風力、森林に恵まれているのでバイオマス、海洋温度差発電とワンセットで発電したいという計画書も作成しています。ソフトバンクの孫さんも計画に加わってきています。7月17日には200人ほどが集まって、そこで市主催の説明会を開きました。総投資額で500億円くらいの規模になるプロジェクトで、世界のエコ発電のモデルにしたいと考えております。

並河 素人考えですが、海洋温度差発電よりも陸で行う温泉水発電や地熱発電の方が簡単ではないかと思うのですが。

上原 地熱や温泉水の場合は汲み上げる湯量が少ないのです。海洋では温度差は小さいですが、対馬の場合は1時間に7000トン、直径10センチのパイプで汲み上げます。温泉だと1時間に汲み上げれるのはせいぜい1~2トンで、温泉水は捨てるにもお金がかかりますが、海の場合は捨て場もあるし、圧倒的に海の方が有利なのです。温泉水発電は環境省の補助金が付きますので結構、実証試験の例はありますが、その発電量は大きな旅館1件賄う程度です。原子力発電も海の近くに持っていくのは冷却水の確保のためで、1時間に4万?の冷却水が必要です。陸上だと取水はいいが捨て場がない、海洋温度差発電だと汲み上げるのも捨てるのも無限です。そのあたりが有利な点です。

発電コストキロワット当たり10円だってOKだ
35億キロワットの発電網を構築し世界の電力供給をカバー

並河 ところで、建設コストはいかがでしょうか。

上原 100万キロワット原子力1基分で、設備費は1兆円です。ほぼ原子力と同じです。ただ地元対策費や漁業権補償対策費はまったく、必要ありません。それどころか、海底からはプランクトンなどの栄養分を汲み上げてくるので、魚が大量に取れると、漁業関係者は歓迎してます。リチウムも取れるし真水も取れるし、海洋温度差発電に勝さる自然エネルギーはないですね。安定性、経済性も抜群です。ただし、対馬は1~3月はダメ、日本海の冷たい海水が入るからです。その期間(冬)は風力発電で賄います。基本的に温度差15度以上必要ですが、対馬は11度でいけると考えています。

並河 そうなると立地条件としてはやはり日本海ですか。

上原 立地的には北アルプスの関係で、日本海の富山県や島根県も最適地ですが、北朝鮮のミサイルが心配です。しかも、陸では野を越え山越えて送電線を張り巡らすのでコスト高となりますが、海は海底ケーブルを引くだけです。所有権問題もありませんしね。100??の送電ケーブルなら陸上の10分の1のコストで済み、ケタ違いに安い。それに海中は冷えて温度が安定しているためロスがない。昨年、内閣府で「人が住むには水と電気が必要ですが、海洋温度差発電ならどちらも大丈夫」と進言したところ、「沖の鳥島ではどうか」といってました。

並河 太陽光の発電コストは??当たり30円くらいといわれます。日本のエネルギー供給のどれくらいを見ていますか。

上原 うまくいくと10円を切ります。将来的には日本のエネルギー供給の50?くらいを見ています。それは世界のエネルギーの50?を賄うことにもなります。つまり、アメリカが昼なら日本は夜、世界の海洋温度差発電をつなげていけば半分でいいのです。また、たえず海底から汲み上げた冷水で海面を冷やしているので地球の温暖化の防止にも役立つはずです。

並河 壮大な「全地球電力融通システム」ということも視野にあるのですね。

上原 現在、世界の電力需要は30億??くらいで人口と比例します。70億??の発電は原理的に不可能で、そうであれば35億??分を発電して、昼と夜に分けて供給するのです。それを私は40年くらい前に提案しましたが、賛同者は増えてきており、もう一度国連で提案したいと考えています。現在、国連からの申し出ではミクロネシアやカリブ海、インド洋、グアム、カリフォルニアなどがあがっています。あとは島伝いに発電していったらどうかと提案しています。

 

並河 世の中は「脱原発」の流れですが、並行して海洋温度差発電のような新エネルギーが誕生していることは人類の未来に光明が指す思いです。プロジェクトのご成功を祈っております。

 

 
希望早日向世界发布安全宣言 打印
2011-06-23 15:56

东日本大震灾后,海外观光客似乎都消失了。旅馆和宾馆的预约纷纷取消,宾馆和旅馆损失很大。我们就震灾后的状况以及展望采访了藤原观光公司的上原优执行董事、中国营业部部长。

经济担当

阿部 和义

1942年生,东京大学毕业后,进入朝日新闻社,历任经济部记者、名古屋本社经济部统括部负责人、经济部编辑委员、电波媒体局局长辅佐,2002年7月退休。

藤田观光执行董事、中国营业部部长

上原优

群马县出身。1979年进入藤田观光会社。历任大阪太閤园婚礼课长、新泻华盛顿宾馆餐饮课长、浦和华盛顿宾馆营业总括责任者、Bay Side宾馆azur竹芝总负责人。2010年三月在任。55岁。

3月11日的大地震影响到你们公司的营业了吗?

因为受到地震、海啸和东京电力福岛第一核电站放射线泄露的影响,一下子许多观光客人都不来了。此前,每年都有来自中国等国家的外国游客前来观光。藤田观光以前在华盛顿宾馆、四季酒店、京都国际宾馆、箱根宾馆小涌园、休闲设施、东京文京区椿山庄等处举行婚礼、宴会等活动,但是3月11日以后就很少有这样的活动了。

说起海外游客来,还是中国游客最多吧?3月11日之后中国游客少了吧?

今年的情况是这样的,震灾前的游客增长为去年的30%,3月11日之后游客数一下子萎缩了。中国游客好像特别担忧福岛第一核电站的放射现状。韩国游客和台湾游客也是如此。中国人游客都在核电站事故发生后回国了。日本观光厅推进的“日本旅游(VJC)”计划看来在今年无法实现。我们于是开始考虑设定中长期目标,争取在2016年为止吸引2000万外国游客。

听说,上原先生和许多旅游业界的人士在定例的观光振兴恳亲会大岛利德任会长上阐述了自己的紧急提案,不知道具体内容是什么?

我提议,灾区民众到县外的宾馆入住的时候,住宿费用和交通费由国家全额负担,同时我希望就灾民居住问题以及今后的人生设计社会各界予以关注和帮助。目前,藤田观光公司接纳了120名灾民,此外,在新宿的华盛顿宾馆、东京有明、箱根宾馆小涌园等地区也接纳灾民入住。

除此之外,您还进行了什么样的提案?

为了减少震灾、核电站事故报道所带来了间接经济损失,我们希望向外国积极介绍日本的安全性和魅力。我最近在和中国政府要人谈话中谈到了媒体的负面报道问题,我表示希望媒体不要报道日本不安全等内容。同时,在放射能泄露问题上,我希望日本政府尽早收市事态,争取早日向世界宣布日本非常安全。我也希望日本民众多多在宾馆举行宴会和婚礼,以此促进日本经济活性化发展。

 
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